世界経済に揺さぶられ易いインドネシア経済

報道では、インドネシア金融庁(OJK)が発表した4月の銀行業界の不良債権比率は2.92%となり前月比で、0.1ポイントの上昇、過去2年で最高水準だそうです。更に今後2〜3カ月中に3%を超える恐れもあるという事ですから、嫌な雰囲気です。5月19日の記事で紹介しましたが、この時点で銀行業界の不良債権比率は2015年12月の2.5%から16年1月には2.7%、2月は2.9%と上昇していました。ただし、インドネシア中央銀行不良債権比率が5%未満なら安全としており、懸念する必要はないのだそうです。が、年末にかけて動向に注視は必要と思います。

 

4月の銀行貸出残高は4006兆7070億ルピア(約31兆5000億円)で前月比0.2%増、前年同月比1.26減、不良債権は117兆2950億Rpで前月比で3.7% 増、16.2%増。

 

この要因は不良債権の増加は国内外の景気低迷で、更に貸し出しの鈍化も不良債権比率の上昇に拍車をかけているとの事ですが、年末になっても3.5~4%には届かないとの事。

 

国営マンディリ銀行の場合、3月の貸出残高は574兆7000億ルピア、前年同期比8%増、不良債権比率は2.89ポイントで前年同期比1.08ポイント上昇で、中堅企業を中心に拡大しているようです。マンディリ銀行によれば、商品(コモディティー)価格の下落が続いているため、不良債権比率の上昇は妥当で不良債権の圧力が年末まで消えることはないと言う見解で、中堅企業は大企業のように多様な収入源がないため、需要が冷え込みは支払い能力の低下に直結するので、中堅企業向けの貸し出しが焦げ付く例が多くなっているとの事です。

 

インドネシアの経済を見るとき、よく出てくるコモディティー価格ですが、これがどう影響するのか? について同じ日の別の報道で、良い例がありました。

 

インドネシアの一大コングロマリット、アストラ・インターナショナルの中で建機や重機を担っているユナイテッド・トラクターズはコマツとも組んでいますが、鉱業とアグリビジネス向けの販売低迷した事で、コマツ製建機の販売台数が1〜5月は前年同期比26%減の868台、5月の販売台数は179台となっているそうです(今年の販売目標は2000台)。

1〜5月業種別販売先シェア

建設:54%(前年同期32%)

鉱業:21%(前年同期33%)

林業:14%(前年同期21%)

農業:11%(前年同期14%)

同社によれば、建設向けは伸びているものの、主力であった鉱業やアグリビジネスと比べると需要は弱いので今後、石炭やCPO(パーム粗油)などの商品(コモディティー)価格が上昇しない限り生産は減り、設備投資が減りますので、販売の改善は困難と見ている様です。

 

これは一つの例に過ぎず、同じ様な現象があちらこちらで見られるのが、問題です。つまり、国際的な経済の減速によってコモディティー価格が低下すれば、インドネシアの経済は大きく影響されると言えます。これに対処するには、製造業やサービス業を育成し、産業構造を変えていく必要があると思います。間違ってたら、ごめんなさい。