インドネシア、省庁予算を4100億円削減 の続き

過去の記事(5月19日)で、ジョコ大統領が大統領令(16年第4号)で省庁予算削減を決め、省庁別では公共事業・国民住宅省予算が最も大きく削減されており、8兆4950億ルピアの減額となっていることを紹介しました。

 

21日に、ジョコ大統領が2015年4月末に開始宣言した100万戸(低所得者向け70万戸、非低所得者層向け30万戸)の住宅建設計画について、2016年の建設目標を当初の112,992戸から110,574戸へ下方修正(▲2,418戸)すると発表したそうです。同省内では当初、住宅供給総局に7兆6970億ルピアを割り当てていたが、予算削減で3553億ルピアの減額としたそうです。今年2月末では既に、28,288戸が完成していました(低所得者向け=16,562戸、 非低所得者層向け=11,726戸)。

 

2,418戸で3553億ルピアの削減という事は、平均では1戸当たり147百万ルピアと言う事か?ジャカルタであれば、あまり良い住宅ではないですが、地方ならそこそこのレベルだと思います。尚、2018年にはアジア大会が開催されますので、支援の一環で8000億ルピアの追加予算を取得するので、最終的には8兆1417億ルピアが割り当てられるそうです。

 

とは言うものの、19日に書いた記事の通り、省庁予算の削減は出張や会議、サービス利用、報奨、公告、建物の建設、自動車購入などの業務費用を節約することで実現するとしていた訳ですが結局、省内の節約だけでは賄いきれず、30億円強くらいの公共投資を減らす事となってしまいますね。国家規模で見た場合の3553億ルピアは大した金額ではありません。しかし、経済学の基本から言えば、これによって生じる問題は、3553億ルピアの削減によって失われる需要かと思います。一つの需要から生じる派生需要は乗数的に増えますし、何と言ってもムスリムが9割を占めるインドネシアの貯蓄性向は低く見えます=貰った分だけ使ってしまう様に見えるので、この損失は大きいと思います。つまり、住宅建設に必要な資材などが売れる、資材屋さんが儲かり、社員の給料が増える。社員は給料が上がったので、気前良く買い物をする。するとその社員さんへ売った小売店が儲かり、小売店の社員がまた、気前よく買い物をする・・・と言うのが延々と繰り返され、大きな経済効果を生むはずなのですが、この機会が失われた事になります。増して、本当に貰った分だけお金を使ってしまうなら、グルグルと回る通貨が多く好況になりやすい環境であると言えますから。ただ、税収が減っている今、政府としても厳しい状況にあるのだと思います。追い討ちの様に英国がEUを離脱すると決め、世界経済に激震が走っていますので益々、状況は厳しさを増すかも知れません。何とか突破口を見つけて欲しいと思います。