インドネシア産業省、自動車分野労働者向け職業能力基準を作成?

報道では、産業省のヤン・シバラン海事・輸送機器・防衛機器産業局長のコメントだとして、「自動車分野の労働者向けの職業能力基準を年内に作成」すると言う方針だそうです。

この職能基準の作成は、インドネシア自動車研究所で行うそうですが、この研究所は、産業省が作った設立した官民組織だとの事です。・・・初めて知った。

 

で、私が???と思うのはここです。職能基準作成の目的は、「インドネシアの自動車分野はまだ職能基準を持っておらず、市場自由化に伴う労働者の流入に対する障壁がない状況であるので、インドネシアの一般的な職能基準である国家職業適性基準の形で自動車分野の職能基準を作成したい」とヤン・シバラン局長はコメントしたそうです。

 

AEC(ASEAN Economic Community)=ASEAN経済共同体は昨年末に発足しました。このメリットは関税撤廃で、例えば安くモノを仕入れて競争力のある製品を製造して域内外への販売を伸ばすと言うものです。しかし、この職能基準の作成の目的は自国規格を義務付けてハードルを高くする事ですから、関税撤廃の効果を薄めてしまう様な動きであり、AECを有名無実化するものです。

 

TPP参加に関する記事でも触れた様に、インドネシアはエネルギーや物流コスト上昇、生産性向上を伴わない労働者の賃金上昇などの問題の解決が必要であるのに、これらを本気で解消しようとしている様には見えません。・・・コレは根が深く、文字通り命懸けになってしまって簡単にできないのだと思いますが。しかし、G20メンバーであり、ASEANの盟主を自認しているなら、私としてはインドネシアは率先してこの様な非関税障壁に挑まねばならない立場だと思うんですね。

 

一方で、今回の英国のEU離脱の件で明らかになった様に、経済統合を行う場合、大きな経済格差がある国同士は避ける必要があります。AECの場合、私の記憶が正しければ、先進国のシンガポールカンボジアでは50倍位の差があったと思います。こんな格差を無理に統合するのはナンセンスですので、経済力が近いところから徐々に拡げて、ヒト・モノ・カネが緩やかに移動する様にコントロールが必要とも思います。経済共同体の理念もあるので、政治的理念が経済実力を無視しがちになりますが、無理は禁物です。と、言っても誰がコントロールするの?と言われれば、悩み込んでしまうのですが f^_^;)