インドネシアの新健康保険、保険料を引き上げ

2014年に開始した全国民を対象とする悪評高き新健康保険。
新健康保険は全国民を対象に、加入者は3種の区分で分けられています。
  賃金労働者(家族を含む)
  賃金を受給しない労働者(家族を含む)
  非労働者(家族を含む)

今度は「賃金を受給しない労働者」と「非労働者」の加入者の保険料を4月分から引き上げるそうで、ジョコ・ウィドド大統領が2月29日付の大統領規定(2016年第19号)で公布。今回の保険料引き上げは、国家社会保障の実施に見合うよう、調整を行うと言う目的だそうです。
それにしても急です。インドネシアらしいと言えば、らしいのですが。

さて、区分ですが、賃金労働者は所謂、普通の労働者です。賃金を受給しない労働者は、雇用関係の外にある労働者(独立労働者)または賃金労働者に含まれない労働者、非労働者は、投資家、雇用主、年金受給者、退役軍人、独立功労者などだそうです。
そして、我々外国人の場合は、賃金労働者と賃金を受給しない労働者ですが、インドネシアで6カ月以上就労する場合は加入が義務付けられています。平たく言うと、外国人は金があるんだから協力しろよと言う事さと、或るお客様のインドネシア人部長から教えて貰った記憶があります。

さて、今回公布された規定では、3種類の区分のうち、賃金を受給しない労働者と、非労働者が対象です。お金を持ってそうな層です。
新たな保険料(月額)は、サービスのグレード別に保険料が変わるのだそうです。
  第1級(1部屋2~3床)  80,000Rp  (34.4%の引き上げ)
  第2級(1部屋3~4床)  51,000Rp  (20%の引き上げ)
  第3級(1部屋5~6床)  30,000Rp  (17%の引き上げ)

大きな問題ではないのですが、賃金労働者の場合、保険料が基本賃金と固定手当を合わせた所得の5%で、その内、企業負担が4%です。結局、企業の支払いが増える訳です。確かに、大きな問題ではないですが、無視もできないです。昨年から経済成長の減速が鮮明になっていますが、為替レートの悪化やインフレ、労働賃金の高騰などで、企業の収益は悪化していますから、小さなモノでも積み上げれば、大きなダメージとなりますので。
また、この制度は、貧困層以外では歓迎されていない様に見えます。先ずは、小さな町医者に行ってから大きな病院に行く必要があるそうで、我々の様なそれなりの企業に勤めている従業員達はうんざりしているとの事で、本当に良く議論されたのか、少し疑問を感じます。

全くの私見ですが、インドネシアではお金がある所から取れるだけ取ろうと言う発想がある気がします。この制度は、財政学の課税の所で学ぶ、所得の再分配を目指した垂直的公平の様な発想のものである事は理解できるのですが、何か、こう、しっくり来ないのが本音です。その理由は追い追い、語る事になると思います。