断食月に嫌な事

イスラム暦ラマダンとして知られる第9番目の月は断食を行いますので、インドネシアと言うか、ムスリムは断食しています。知られるように、断食は日没までですので、ここジャカルタの場合は17:50頃まで断食している人が多いです。

 

毎年、この時期は正直に言って、好きではありません。理由は次の通りです(あくまで、私の完全なる個人的価値観に基づくもので、感じ方、考え方は人それぞれですので、ご注意下さい)。

・早朝に起きて断食の準備をするせいか、どこの会社も生産性が1割かそれ以上、低下する。一番怖いのは運転手が眠そうにしている時。

・断食はこれ自体、ジハードの一部ですので(大ジハード)、普段よりも一層敬虔にしなくてはならない=怒ったりしてはいけないながらも、飢えや渇きの所為か殺気立ってる人がいる。(余談ですが、ジハードを聖戦と訳すのには疑問を感じます。聖戦=戦い=戦争/テロと連想してしまうのですが、戦争は小ジハードの一部に過ぎず、ましてテロは聖戦でも何でもありません。ですので、多くのムスリムはISなどのテロ組織はムスリムではなく、イスラムの名を騙る敵と認識しています。)

・1日の断食の終わりを家族と過ごせる様に、多くの会社では始業時間、終業時間、休憩時間を変更するのは良いけど、渋滞の酷いジャカルタで朝が更に早くなるのはキツイ。

・来るべきレバラン(断食明け大祭=日本の正月の様なもので、何かと物入りで金が欠乏する)を意識している為、汚職まがいの事例が生じたり、チップ等では少ないと文句を言われる事がある。

・オネーさんと楽しく遊べない=カラオケ(いわゆる成人カラオケ)が閉まってたりする。開いててもセクシーな服装ではなかったり、稀に警察のガサ入れがあるし(アルコールはNG)、最近は聞かないけれども過激組織の襲撃がある。ささやかな憩いの場を奪わないで!所詮は冗談であるのに、冗談であっても甘い囁きさえアカンと言われれば、何も言えなくなるではないか!

・マッサージもホテル等、限られた場所でしか出来ない。基本は出来ない。ゴルフの後、どうしろと言うの?

 

と、書いたのですが、これらは、そうは言っても笑っていられるものですが、真面目な話を。

国家警察は市場で牛肉の価格つり上げが横行していると捜査を進めているそうです。価格がおかしくなっているのは、食肉処理場から市場への卸売価格の部分だそうで、警察は不正なストックによって価格が上げられているのかと調べているそうです。 政府は現状で115,161ルピア/kg(約920円)になっている牛肉価格を8万ルピアへの引き下げを目指し、食糧調達公社に牛肉10,000tの輸入を認める方向だそうですが正直、妙に値上がりするのは、牛肉だけではないです。ただ需給バランスと言うものがありますから、レバランに向け需要が増えれば価格が上がる事は普通の事ですので、何を以って不正な価格と言うのかは難しいでしょうね。

 

悪い話だけでなく、良い話もあります。15日の事ですが報道によりますと。ダルミン・ナスティオン経済調整相は、断食期間中のインフレ率が低水準にとどまるとの見通しを述べられたそうです。その理由は、今年の断食月は主要食料の内、砂糖が若干、値上がりしているものの、コメや牛肉の価格は落ち着いているという事です・・・上の警察の話は何なのだろう?一部で、って事なのでしょう。また、政府の価格抑制策も功を奏しておおり、インフレ率は前年の断食月を下回る見込みだとの事。

そして、インドネシア中央統計局によれば、インドネシアのインフレ率は5月時点で前年同月比3.33%、前月比0.24%しか上がっておらず、インドネシア中央銀行の通年インフレ目標3〜5%の範囲内に収まる水準だそうです。

 

ただ、これらの報道で怖いのは、政府の統計と牛肉価格のつり上げ報道の様に実態が乖離しているかもと思える事ですが、私の感覚では、どっちとも正しいと思います。つまり、全体感で言えば、断食月になり確かに感覚的に納得できないレベルの値上がり製品もある一方で、多くの物品、サービスの価格は数年前の様な上がり方はしていないので、インフレも大人しいものだと感じています。皆さんの感じ方はどうでしょうか?人それぞれにライフスタイルがあるので、人によって答えは変わるのでしょうね。