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下請け価格の設定に不満が高まるインドネシアの自動車部品業界

7月10日、西ジャワ州カラワン県にある120社が加盟する自動車部品産業協会のロサリナ・ファリド会長が『自動車メーカーが設定する下請け価格が長年据え置かれている』ため是正を求める意向だそうです。これ以外にも「部品の製造コストが上昇しているにもかかわらず、下請け価格は少なくとも5年前から、ほぼ変わっていない」と。背景として、昨年以降では原材料価格や労賃の上昇に伴って既に12社が倒産した事がある様です。そして、下請け価格を据え置いているのは主に日系の自動車メーカーだと仰ってるとか。

 

この報道をそのまま信じる事はありませんが、私が心配するのは、自動車メーカーと言う訳ではなく、初めてインドネシアに来る日本人の方で散見される「何でインドネシアの物価が高いのか?」と驚く方です。慣れてしまえば、何で安いと思うの?と逆に疑問を感じる様になってしまいますが、それは物価が高いのには理由があるからです。しかし、それでも「納得出来ない」と言う方が実際にいらっしゃいますが、この様な方は私の知っている範囲では、周囲と軋轢を引き起こしています。

 

インドネシアでは、材料関係は全て(は言い過ぎですが、でもそれくらい)海外に依存しています。しかし、急速にルピア安が進み、これだけで大幅なコストアップになります。また、産油国ですが、インドネシア化石燃料を輸入しています。そして、様々なモノがインドネシアに輸入されますが、それらは全て一旦、首都ジャカルタがあるジャワ島に集められ、そこから高い輸送費を使って、各地方に輸送されます。パプアではガソリンは1000円/Lくらいと聞いた事があります。それだけではありません。生産性が上がらなくても労働組合さんが日本人を監禁してまで馬鹿げた賃上げ要求をしてくれますし、再選したい地方首長が労働者に良い顔をしたくて、ホイホイと経済成長やインフレ率を無視した最低賃金の上昇を認める政令に署名してくれます(昨年に労働者の横暴に堪り兼ねた政府が最低賃金の算出式を制定しましたが、それでもまだ、オカシイ)。電力費も毎年の様に上昇します。国会の分科会が承認したら、1年で30%も上がったりします。国営電力会社は黒字でホクホクです。何たって国営。

 

一方で、日本では長〜い間、デフレ脱却出来ていませんでしたから、モノの値段は下がると思い込んでいる人が散見されます。決して間違いではありません。減価償却が進めば、安くなる筈ですので、時間が経過すれば安くなります。しかし、コレは労務費の上昇圧力が低く、為替レートも円高に振れていて製造原価が(極端に)上がらない条件の下で成立します。その裏には若年層の所得低下と言う甚大な犠牲があったりします。(それで更に消費が伸びず、経済成長しないと言う悪循環へ⁈)

 

この日本のロジックを条件が大きく異なるインドネシアにそのまま持ち込んだとすれば、それは軋轢も起きるでしょう。日系の自動車メーカーの方は聡明な方が多いので、私は自動車メーカーの場合、報道の様な事はないと思うのですが、どうなのでしょう?私の経験では、自動車とは全く異なる分野ですが商談の中で、有り得ない様な値下げ要求を受けた事があります。何故、そこまで要求するのですか?と聞けば、「目標だから」との事。では、その目標の根拠は何ですか?と聞けば、「日本の本社から言われているから」という事でした。それも根拠ですけれど、閉口しました。こんなロジックは日系企業ならともかく、インドネシアのローカル企業には通用しません。

 

この報道について私個人としては、コミュニケーションを充分に図れば解決できるのではないかと期待するのですが、どうなのでしょう? 推測ですが、可能性として考えられるのは、日本人から安く仕入れなさいと指示されて、インドネシア人スタッフが評価されたいが為に無茶な要求をしていたのかも、という事ですが、真実は分かりません。また、自動車部品メーカー側も、自動車メーカーが理解できる様な詳細で論理的な説明が出来ていないと言う可能性もあります。いずれにせよ、部品メーカーも自動車メーカーも双方が納得できる価格で取引して欲しいと思います。